2023/08/24
神戸の税理士 井上です。
インボイス制度が開始される2023年10月1日から適格請求書発行事業者となるための登録申請書の提出期限は、4月以降の申請であっても、9月30日までの提出であれば、10月1日に登録を受けたものとみなされる経過措置がありますが、登録申請書の処理に時間を要することや、登録申請書に記載誤り等がある場合は、記載内容の確認などが必要となるため、登録通知まで時間がかかることが予想されます。
そこで、インボイス登録申請書の提出に当たっての注意事項として、これから登録申請をする方は、下記をご確認ください。
まず、個人事業者の場合、〔氏名〕欄には屋号は記載せず、「氏名」のみ記載し、〔代表者氏名〕欄及び〔法人番号〕欄は記載不要です。
〔登録要件の確認〕欄における「納税管理人を定める必要のない事業者です」欄では、今後出国するなど、国内に住所を有しないことになる場合には、納税管理人を定める必要がありますので、「いいえ」をチェックし、「納税管理人の届出をしています」欄を確認します。
それ以外の事業者については、「はい」をチェックします。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和5年6月12日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
2023/07/15
神戸の税理士 井上です。
(前編からのつづき)
デジタル化基盤導入類型では、インボイス発行の手間を効率化するため、「会計ツール」を導入します。
補助対象経費は、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(ソフトウェアの更新等保守サポート費を含む)、ハードウェア購入費が該当します。
課税転換に伴う販路開拓支援では、小規模事業者持続化補助金により税理士等への相談費用も含め、課税転換に伴う販路開拓を支援します。
小規模事業者等が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等の費用を支援します。
免税事業者からインボイス発行事業者に転換するインボイス転換事業者に対して、全ての申請枠で補助上限を一律に50万円上乗せ(最大250万円補助)します。
なお、免税事業者を維持する事業者への対応としては、インボイス制度導入前後の取引上の懸念への取組みとして、免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&Aを公表しているほか、実態把握のための書面調査等も実施しております。
(注意)
上記の記載内容は、令和5年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
2023/06/30
神戸の税理士 井上です。
中小企業庁では、インボイス制度への対応に取り組む事業者に向けて、同庁ホームページ上にて各種支援策を案内しております。
課税事業者を選択する事業者に対しては、IT導入補助金により、ITツール(会計・受発注・決済・ECソフト、一部ハードウェアも含む)の導入費用等を幅広く支援します。
また、みらデジ経営チェックにより、インボイス対応も含めた自社のデジタル化の進捗状況・経営課題を確認することができ、経営改善のための活用を呼びかけております。
IT導入補助金は、デジタル化による事務負担を軽減し、企業間取引のデジタル化を推進します。
インボイス制度への対応も見据え、デジタル化基盤導入類型では、補助下限額を撤廃し、ITツールは、交付の額が50万円超の場合の補助率が、その交付の額のうち50万円以下の金額については3/4以内、50万円超の金額については2/3以内で補助します。
これに加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援します。
PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機等は20万円まで、ともにその1/2以内で補助します。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和5年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
2023/04/02
神戸の税理士 井上です。
令和5年度税制改正ではインボイス制度導入に伴う納税者の負担軽減措置の一つとして、「小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)」が導入されます。
◆納税額は簡便な計算で算出
2割特例は業種を問わず、納税額を売上税額の20%とするもので、計算方法も簡易課税制度と同様、簡便なものとなります。
◆対象期間は3年間
2割特例の対象期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間となります。個人事業者は、令和5年分(10~12月分のみ)から令和8年分の申告まで計4回の申告が対象となり、3月決算法人は、令和6年3月決算分(10月~翌3月分のみ)から令和9年3月決算分まで計4回の申告が対象となります。
◆適用要件
2割特例は、上記の対象期間において、インボイス発行事業者の登録、課税事業者選択届出書の提出がなかったとしたならば納税義務が免除されることとなる課税期間(令和5年10月1日の属する課税期間であって、令和5年10月1日前から引き続き課税事業者選択届出書の提出により納税義務が免除されないこととなる課税期間、課税期間の特例の適用を受ける課税期間を除く)に適用されます。
また、基準期間の課税売上高が1,000万円超、資本金1,000万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産の取得等により納税義務が免除されない課税期間についても適用されません。
なお、課税事業者選択届出書の提出により、令和5年10月1日の属する課税期間の初日から納税義務が免除されない場合で、インボイス登録申請書を提出しているときは、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出すれば、当該課税期間の初日から免税事業者に戻り、登録日以後は課税事業者として2割特例の適用を受けられます。財務省は救済措置と説明しています。
◆2割特例の適用は申告書に付記でOK
原則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも2割特例の適用は毎期、申告時に決めればよく、確定申告書に2割特例を適用する旨を付記することで行えます。
◆2割特例の適用期間が終わったら
2割特例の適用期間が終了し、翌課税期間から簡易課税の適用を受けたい場合は、翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出すれば適用できます。
2023/02/01
コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性
◆適格請求書保存方式開始まで1年を切った
令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)となります。
インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者には国税庁から登録番号が通知されます。仕入れる側は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で請求書等に記載されている登録番号が正しいものであるかどうかの確認ができます。
◆フランチャイズの店舗は事業者が別の者?
コンビニエンスストアなどフランチャイズ方式で展開されている事業は、店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。そのため、適格請求書発行事業者の登録番号も、コンビニ本部の番号ではなく、その店舗の事業主の登録番号となります。フランチャイズ本部の直営店もありますので、その場合は本部の会社名となります。
仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、店舗名までの記載が必要だということになります。
◆相手方登録番号の帳簿記載は不要です
仕入税額控除に際しての記帳要件は、令和5年10月1日以降も現在の区分記載請求書等保存方式と同様であり相手方登録番号の記載は不要とされています。よって、経理入力時に登録番号入力の懸念は不要です。
とはいえ、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトとの登録番号の検証機能を備えた会計ソフトを使っている場合、正しい名称で登録すると実在性の確認もできるので、自社の会計ソフト次第では、入力した方が便利な場合があるかもしれません。
出張経費の精算でコンビニ利用の実額を旅費としている場合、現在でも、食料品は軽減税率の8%、その他は10%、レジ袋も標準税率の10%と、確認と記帳に他のレシートの3倍くらい時間が掛かります。
買い物には便利なコンビニですが、消費税の面から見ると、少し面倒な存在です