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(前編)中小企業庁:インボイス制度への対応取組みの各種支援策を案内!


2023/06/30

 

神戸の税理士 井上です。
 
中小企業庁では、インボイス制度への対応に取り組む事業者に向けて、同庁ホームページ上にて各種支援策を案内しております。
 
 課税事業者を選択する事業者に対しては、IT導入補助金により、ITツール(会計・受発注・決済・ECソフト、一部ハードウェアも含む)の導入費用等を幅広く支援します。
 また、みらデジ経営チェックにより、インボイス対応も含めた自社のデジタル化の進捗状況・経営課題を確認することができ、経営改善のための活用を呼びかけております。
 
 IT導入補助金は、デジタル化による事務負担を軽減し、企業間取引のデジタル化を推進します。
 インボイス制度への対応も見据え、デジタル化基盤導入類型では、補助下限額を撤廃し、ITツールは、交付の額が50万円超の場合の補助率が、その交付の額のうち50万円以下の金額については3/4以内、50万円超の金額については2/3以内で補助します。
 これに加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援します。
 PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機等は20万円まで、ともにその1/2以内で補助します。
 
(後編へつづく)
 
(注意)
 上記の記載内容は、令和5年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

インボイス制度の経過措置(2割特例)


2023/04/02

 

神戸の税理士 井上です。
 

令和5年度税制改正ではインボイス制度導入に伴う納税者の負担軽減措置の一つとして、「小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)」が導入されます。
 

◆納税額は簡便な計算で算出
 2割特例は業種を問わず、納税額を売上税額の20%とするもので、計算方法も簡易課税制度と同様、簡便なものとなります。
 

◆対象期間は3年間
 2割特例の対象期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間となります。個人事業者は、令和5年分(10~12月分のみ)から令和8年分の申告まで計4回の申告が対象となり、3月決算法人は、令和6年3月決算分(10月~翌3月分のみ)から令和9年3月決算分まで計4回の申告が対象となります。
 

◆適用要件
 2割特例は、上記の対象期間において、インボイス発行事業者の登録、課税事業者選択届出書の提出がなかったとしたならば納税義務が免除されることとなる課税期間(令和5年10月1日の属する課税期間であって、令和5年10月1日前から引き続き課税事業者選択届出書の提出により納税義務が免除されないこととなる課税期間、課税期間の特例の適用を受ける課税期間を除く)に適用されます。
 また、基準期間の課税売上高が1,000万円超、資本金1,000万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産の取得等により納税義務が免除されない課税期間についても適用されません。
 なお、課税事業者選択届出書の提出により、令和5年10月1日の属する課税期間の初日から納税義務が免除されない場合で、インボイス登録申請書を提出しているときは、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出すれば、当該課税期間の初日から免税事業者に戻り、登録日以後は課税事業者として2割特例の適用を受けられます。財務省は救済措置と説明しています。
 

◆2割特例の適用は申告書に付記でOK
 原則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも2割特例の適用は毎期、申告時に決めればよく、確定申告書に2割特例を適用する旨を付記することで行えます。
 

◆2割特例の適用期間が終わったら
 2割特例の適用期間が終了し、翌課税期間から簡易課税の適用を受けたい場合は、翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出すれば適用できます。

インボイス制度 コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性


2023/02/01

 

コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性
 
◆適格請求書保存方式開始まで1年を切った
 
 令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)となります。
 インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者には国税庁から登録番号が通知されます。仕入れる側は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で請求書等に記載されている登録番号が正しいものであるかどうかの確認ができます。
 

◆フランチャイズの店舗は事業者が別の者?
 
 コンビニエンスストアなどフランチャイズ方式で展開されている事業は、店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。そのため、適格請求書発行事業者の登録番号も、コンビニ本部の番号ではなく、その店舗の事業主の登録番号となります。フランチャイズ本部の直営店もありますので、その場合は本部の会社名となります。
 仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、店舗名までの記載が必要だということになります。
 
◆相手方登録番号の帳簿記載は不要です
 
 仕入税額控除に際しての記帳要件は、令和5年10月1日以降も現在の区分記載請求書等保存方式と同様であり相手方登録番号の記載は不要とされています。よって、経理入力時に登録番号入力の懸念は不要です。
 とはいえ、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトとの登録番号の検証機能を備えた会計ソフトを使っている場合、正しい名称で登録すると実在性の確認もできるので、自社の会計ソフト次第では、入力した方が便利な場合があるかもしれません。
 出張経費の精算でコンビニ利用の実額を旅費としている場合、現在でも、食料品は軽減税率の8%、その他は10%、レジ袋も標準税率の10%と、確認と記帳に他のレシートの3倍くらい時間が掛かります。
 買い物には便利なコンビニですが、消費税の面から見ると、少し面倒な存在です 

 

消費税の基本的な仕組み(インボイス制度)


2022/12/23

 

◆インボイス制度開始まで1年を切った
 
 消費税のインボイス制度開始は令和5年10月1日の予定です。この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。
 免税事業者の方や経理にタッチしない方は「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。
 
◆消費税の内訳
 
 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
 標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は「地方消費税」として扱われ、いったん国の出先機関である税務署に納付され、地方消費税部分は統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。
 
◆消費税の負担と納付の流れ
 
 消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みになっています。
・各取引にかかる消費税の例(標準税率)
 
製造業:売上50,000(+消費税5,000)
卸売業:仕入50,000(+消費税5,000)
     売上70,000(+消費税7,000)
小売業:仕入70,000(+消費税7,000)
     売上100,000(+消費税10,000)
消費者:100,000(+消費税10,000)
 
 上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。
 先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです

インボイス 個人事業主の本名公開停止


2022/11/21

 

税理士事務所 神戸経営の税理士 井上です。
 

来年10月にスタートする消費税のインボイス制度を巡り、国税庁はウェブサイトで公開していた登録事業者の氏名などの個人情報を非公開にしました。
ペンネームや匿名などで活動する事業者の特定につながるとの指摘を受けて対応。9月下旬にデータのダウンロードを停止して、一部の個人情報を削除した状態で再公開しました。
 

 来年10月に始まるインボイス制度では、免税事業者はインボイスを発行できず取引先は仕入税額控除ができなくなることから、多くの免税事業者がなかば強制的に課税事業者として登録することを強いられています。ただ、登録すると専用サイトで本名を公開されてしまうため、ペンネームや匿名で活動することの多い漫画家、作家、ミュージシャン、俳優などの団体からは「身元の特定につながり、つきまといなどの原因となる」などと懸念する声が多く寄せられていました。サイトでは8月末までに登録した約20万件の個人事業主の名前や登録番号がデータにまとめられ、一括ダウンロードも可能となっていました。
 

 この個人事業者のデータを巡り、国税庁は一括ダウンロードを停止。その後、全データファイルの提供を再開しましたが、①本店または主たる事務所の所在地、②氏名または名称、③国内において行う資産の譲渡等にかかる事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地、④主たる屋号、⑤通称・旧姓――などが削除されています。
 

 本名の公開によるプライバシー侵害のリスクにつき、市民らがつくる「公平な税制を求める市民連絡会」(代表・宇都宮健児弁護士)が8月に国税庁に質疑応答を行ったところ、国税庁からは、「個人事業者の場合は公開するのは住所や電話番号ではなく氏名なので、それだけで個人の特定に至るのは少ないと考えている」との回答を得ていました。この質疑応答があった時点では「(見直す予定は)今のところない」と答えていましたが、その後も本名の公開に対する世間の反発が強かったことから、公開の一時停止に至ったとみられます。

<情報提供:エヌピー通信社>

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