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インボイス制度 コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性


2023/02/01

 

コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性
 
◆適格請求書保存方式開始まで1年を切った
 
 令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)となります。
 インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者には国税庁から登録番号が通知されます。仕入れる側は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で請求書等に記載されている登録番号が正しいものであるかどうかの確認ができます。
 

◆フランチャイズの店舗は事業者が別の者?
 
 コンビニエンスストアなどフランチャイズ方式で展開されている事業は、店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。そのため、適格請求書発行事業者の登録番号も、コンビニ本部の番号ではなく、その店舗の事業主の登録番号となります。フランチャイズ本部の直営店もありますので、その場合は本部の会社名となります。
 仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、店舗名までの記載が必要だということになります。
 
◆相手方登録番号の帳簿記載は不要です
 
 仕入税額控除に際しての記帳要件は、令和5年10月1日以降も現在の区分記載請求書等保存方式と同様であり相手方登録番号の記載は不要とされています。よって、経理入力時に登録番号入力の懸念は不要です。
 とはいえ、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトとの登録番号の検証機能を備えた会計ソフトを使っている場合、正しい名称で登録すると実在性の確認もできるので、自社の会計ソフト次第では、入力した方が便利な場合があるかもしれません。
 出張経費の精算でコンビニ利用の実額を旅費としている場合、現在でも、食料品は軽減税率の8%、その他は10%、レジ袋も標準税率の10%と、確認と記帳に他のレシートの3倍くらい時間が掛かります。
 買い物には便利なコンビニですが、消費税の面から見ると、少し面倒な存在です 

 

消費税の基本的な仕組み(インボイス制度)


2022/12/23

 

◆インボイス制度開始まで1年を切った
 
 消費税のインボイス制度開始は令和5年10月1日の予定です。この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。
 免税事業者の方や経理にタッチしない方は「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。
 
◆消費税の内訳
 
 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
 標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は「地方消費税」として扱われ、いったん国の出先機関である税務署に納付され、地方消費税部分は統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。
 
◆消費税の負担と納付の流れ
 
 消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みになっています。
・各取引にかかる消費税の例(標準税率)
 
製造業:売上50,000(+消費税5,000)
卸売業:仕入50,000(+消費税5,000)
     売上70,000(+消費税7,000)
小売業:仕入70,000(+消費税7,000)
     売上100,000(+消費税10,000)
消費者:100,000(+消費税10,000)
 
 上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。
 先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです

インボイス 個人事業主の本名公開停止


2022/11/21

 

税理士事務所 神戸経営の税理士 井上です。
 

来年10月にスタートする消費税のインボイス制度を巡り、国税庁はウェブサイトで公開していた登録事業者の氏名などの個人情報を非公開にしました。
ペンネームや匿名などで活動する事業者の特定につながるとの指摘を受けて対応。9月下旬にデータのダウンロードを停止して、一部の個人情報を削除した状態で再公開しました。
 

 来年10月に始まるインボイス制度では、免税事業者はインボイスを発行できず取引先は仕入税額控除ができなくなることから、多くの免税事業者がなかば強制的に課税事業者として登録することを強いられています。ただ、登録すると専用サイトで本名を公開されてしまうため、ペンネームや匿名で活動することの多い漫画家、作家、ミュージシャン、俳優などの団体からは「身元の特定につながり、つきまといなどの原因となる」などと懸念する声が多く寄せられていました。サイトでは8月末までに登録した約20万件の個人事業主の名前や登録番号がデータにまとめられ、一括ダウンロードも可能となっていました。
 

 この個人事業者のデータを巡り、国税庁は一括ダウンロードを停止。その後、全データファイルの提供を再開しましたが、①本店または主たる事務所の所在地、②氏名または名称、③国内において行う資産の譲渡等にかかる事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地、④主たる屋号、⑤通称・旧姓――などが削除されています。
 

 本名の公開によるプライバシー侵害のリスクにつき、市民らがつくる「公平な税制を求める市民連絡会」(代表・宇都宮健児弁護士)が8月に国税庁に質疑応答を行ったところ、国税庁からは、「個人事業者の場合は公開するのは住所や電話番号ではなく氏名なので、それだけで個人の特定に至るのは少ないと考えている」との回答を得ていました。この質疑応答があった時点では「(見直す予定は)今のところない」と答えていましたが、その後も本名の公開に対する世間の反発が強かったことから、公開の一時停止に至ったとみられます。

<情報提供:エヌピー通信社>

青色専従者給与の適正額は?


2022/10/21

 

 事業所得、不動産所得等の計算に当たり、必要経費に算入される青色専従者給与の額は、親族以外の第三者に同じ仕事をしてもらう場合に支払ってもよいと考えられる金額を想定して決めると良いかもしれません。

◆青色専従者給与の経費算入
 生計一の配偶者や親族が事業から支払を受ける対価は、原則として必要経費に算入されません。しかし、青色申告を行う個人事業者には適切な帳簿記帳を行う見返りとして、事業に従事する生計一の配偶者や親族に支払う給与を一定の条件のもと、必要経費に算入する特例が認められています。
 ただし、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は、家計からの資金流出を実質的に防ぎ、さらに必要経費に算入して税負担を圧縮することが可能となるため、この制度の利用には制限が付されています。

◆青色専従者給与の認定要件
 青色専従者給与として経費に算入できる要件は、以下のものです。
①事業者と生計を一にする配偶者その他の親族に支払われるものであること(支払を受ける側は、給与所得として課税)。
②12月末現在で15歳以上であること。
③その年を通じて6月超(一定の場合は従事可能期間の2分の1超)、その事業に専ら従事すること。
④「青色事業専従者給与に関する届出書」を算入しようとする年の3月15日までに所轄税務署長に提出すること。
⑤労務の対価として相当であると認められる金額であること。

◆課税上の扱い
 課税上は、同じ職場の使用人給与の額や類似業種の専従者給与の額と比較して適正な水準かが問われます。判例には税理士の妻や歯科医の妻(歯科衛生士)に支払われた給与について、同業者の青色専従者給与の平均額と比較し、高額と認められた部分の経費算入を認めなかったものがあります。
 アパート経営においても不動産会社と管理契約を締結している場合、オーナーの業務はほとんど発生しないため、配偶者や親族を青色専従者にするときは業務内容から給与設定する慎重さが必要となるでしょう。
 なお、事業としては認められない程度の事業規模の場合や、配偶者や親族が他の仕事にも従事して年に6月超、事業に従事できない場合には、青色専従者給与そのものが認められなくなるので注意しましょう。

残業代が変わる!来年4月から


2022/09/06

 

◆割増率が変わることをご存じですか?
 
現行では法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)に対して事業主は25%以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなっています。
 2023年4月から中小企業も月60時間を超える時間外労働は割増率が引き上げられます。すでに大企業は2010年4月から適用されていた割増率ですが、長らく猶予期間が適用されていた中小企業においても、いよいよ2023年4月からは月60時間超えの残業の割増率が現在の25%以上から50%以上に引き上げられます。
 例えば時給1200円の方が残業すると時給は1500円ですが、その方が60時間以上の残業をすると時給1800円となります。60時間を超える時間外労働を深夜(22時から5時)に行う時は75%割増しになります。
 恒常的に残業が60時間を超えている事業所は考えなくてはならないでしょう。
 さらに、2022年4月からの残業代未払いに対して遡及支払いが2年から3年に延びていますので、残業が多い事業所は対策を考える必要があるでしょう。
 

◆今から対策をたてる
 
①月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康確保のため、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を付与することができます。
②労働時間の適正な現状把握をする。
 勤怠管理システムの導入などで勤怠管理をする。長時間労働を是正管理する。
③リモートワークで管理者が現場にいない時は自己申告になりますが、自己申告とパソコンの使用時間が違っているか、上司管理職は労働時間の上限を設けず、法定労働時間の上限を超えているようであれば、習慣的に行っていないか注意をする必要があります。
④割増率の引き上げに併せて就業規則の変更が必要な時があります。
 勤怠管理システム導入や就業規則改定費等に「働き方改革推進支援助成金」や「業務改善助成金」等、環境整備に必要な費用の一部が助成される制度があります。

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